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齦
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はぐき
ふりがな文庫
“
齦
(
はぐき
)” の例文
こんな文句を毎日眼の前におきながら、弁当をぱくついてゐた雪堂といふ百人頭は
性来
(
うまれつき
)
齦
(
はぐき
)
の
勁
(
つよ
)
い、胃の腑の素敵に丈夫な男だつたらしい。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
笑うと出っ歯の
齦
(
はぐき
)
の露出するのも気になったが、お品が悪くはないながらに口の利き方や気分に、どこか
肥料
(
こやし
)
くさいようなところがあった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私の道伴れは、本を手にとり、真中ごろを開き、表紙を見なおし、彼女の善良な、上気した、
齦
(
はぐき
)
の出る笑を笑った。その顔を見て、私はもっと笑う。
シナーニ書店のベンチ
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
狭山は壊血病にかかり、
齦
(
はぐき
)
は紫色に腫れ、皮膚は出血斑で蔽われている。髪の毛はすっかり脱け落ちて、わずかに残った眉毛の毛根が血膿をためていた。
海豹島
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
三坪程の木小屋に
古畳
(
ふるだたみ
)
を敷いて、眼の少し下って
肥
(
こ
)
え
脂
(
あぶら
)
ぎったおかみは、例の如くだらしなく胸を開けはだけ、おはぐろの
剥
(
は
)
げた歯を桃色の
齦
(
はぐき
)
まで見せて
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
肉の落ちた
齦
(
はぐき
)
のあたりには、それでも幾種かの高山植物が
纔
(
わずか
)
に培われてはいるが、堅い硬い岩骨は恐らくは遠い未来まで、その悲痛な最期を語るにも似た凄惨な光と色とを失わないで
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
といって彼は歯のない
齦
(
はぐき
)
を見せて笑った。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
「君に覚えが無くても、僕の方には覚えがあるんだからね。」と児玉氏は
卓子
(
テーブル
)
を
間
(
なか
)
に馬のやうに
齦
(
はぐき
)
をむいで見せた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ただ笑うと上唇の両端が変に持ち上って、歯なみよい細かい前歯と
齦
(
はぐき
)
とがヒーンとすっかり見えた。その小さい口は性格的で、朝子にいい感じを与えなかった。
一本の花
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
うまかったそうです、と武太さんは紅い
齦
(
はぐき
)
を出してニタ/\笑った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
私が芹を食べるのは、その環境を味ふので、さくさくと歯切れのいいその葉と、
齦
(
はぐき
)
を刺すやうなその香とは、かうした聯想をもたらすのに充分なものがある。
独楽園
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
私がこんなに丸っこくて、頭脳的にやや酷使の気味で、それで糖尿的でもないし、
齦
(
はぐき
)
も健康だというのは全くうれしい。益〻夜ねる前に歯をみがくことの効果を信じる次第です。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
茸
(
きのこ
)
を噛むと秋の
香
(
にほひ
)
が
齦
(
はぐき
)
に沁むやうな気持がする。
茸の香
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
齦
漢検1級
部首:⿒
21画
“齦”を含む語句
歯齦
齒齦
齦肉