鼻尖はなさき)” の例文
鼻尖はなさきから右の眼にかけ茶褐色のぶちがある外は真白で、四肢は将来の発育を思わせて伸び/\と、気前きまえ鷹揚おうように、坊ちゃんと云った様な小犬である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
獅は最大いとおおいなるもの鼻尖はなさきから尾の端まで十フィート六インチなるに虎は十一フィートに達するがある由。
ここらに色鳥の小鳥の空蝉うつせみ鴛鴦おしどり亡骸なきがらと言うのが有ったっけと、酒のいきおい、雪なんざ苦にならねえが、赤い鼻尖はなさきを、頬被ほおかぶりから突出して、へっぴり腰でぐ工合は
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そしてその恐しい鼻尖はなさきを、ごつんと潜水兜前面の硝子がらすにぶつつけましたから、今太郎君はわツと叫んで、どつかり尻餅しりもちをつき、めくら滅法に大ナイフを振廻しました。
動く海底 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
どうも、この鼻尖はなさきで、ポンポンはおだやかでない。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)