鼓楼ころう)” の例文
旧字:鼓樓
地内はいわゆる七堂伽藍がらん巍々ぎぎとしていた。七十二門の廻廊、三門、草門、鼓楼ころう、五重の塔など、甲州第一山の名刹めいさつたる名に恥じない。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土塀の先は石垣で、土地が低くなっており、そこに時を告げる鼓楼ころうがあるのだが、ここからは見えなかった。その紅葉の間の右隣りは首実検の間であり、左側になっていた。
慕蓉は兵を鼓舞するために、自身、城外の鼓楼ころう床几しょうぎを移して、兵一人てに酒三杯、肉まんじゅう二箇ずつを供与して、そのこうさかんにした。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
のみならず一声の喇叭らっぱがつんざき渡り、鼓楼ころうの太鼓がとどろくと、彼のあたまの上から奉行慕蓉ぼようの声が、こう聞えた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
楊志一人は、手にとうのムチをたずさえていたが、それを小脇に、山東笠のひさしへ手をかけて、城門の鼓楼ころうを仰ぎ
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてもう鼓楼ころうで告げるこく(午前六時)の太鼓に胸をひしがれた。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのとき伊吹城の鼓楼ころうの太鼓が、とつと、鳴り響いていたからだろう。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)