鸞輿らんよ)” の例文
都に還ると、献帝けんていはいよいよ彼を怖れ給うて、自身、鸞輿らんよに召して、凱旋軍がいせんぐんを迎え、曹操を重んじて、漢の相国しょうこく蕭何しょうかの如くせよと仰せられた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
六波羅討伐の挙兵の際には、主上比叡山へ鸞輿らんよを巡らさる。——というところのおん打ち合わせであった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
烈風に乗じて火を内裏だいりに放ち、中川宮および松平容保の参内を途中に要撃し、その擾乱じょうらんにまぎれて鸞輿らんよ叡山えいざんに奉ずる計画のあったことも知らねばならないと言ってある。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その機会のための大和行幸が八月十二日になって、二十七日鸞輿らんよ出発の予定と発表された。
尊攘戦略史 (新字新仮名) / 服部之総(著)
法王の月料は天子の供御くごに準じ、服食も天子と同じものだつた。宮門の出入には鸞輿らんよに乗り、法王宮職が設けられ、まつりごとは自ら決した。それはすべて女帝が与へた愛情のあかしであつた。
道鏡 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
天皇の鸞輿らんよは、もう今しがた、二条の里内裏さとだいりをお立ち出でと、沿道ではつたえていた。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
法王の月料は天子の供御くぎょに準じ、服食も天子と同じものだった。宮門の出入には鸞輿らんよに乗り、法王宮職が設けられ、政は自ら決した。それはすべて女帝が与えた愛情のあかしであった。
道鏡 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
金色こんじき大鳳おおとりが屋根によくをひろげている鸞輿らんよともよぶあの御輿おんこしである。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)