おおとり)” の例文
東京浅草におおとり神社があって、毎年十一月のとりの日にその社の祭礼がある。ここに参詣さんけいするものは、おのおのクマデを買って帰ることになっている。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
それさに肩摩轂撃こくげき、押すなおすなの雑沓を現ずるのだが、何がさて、大慾は無慾に近く、とりにゆくのはとられにゆくので、おおとり神社には初穂をとられ
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
或る人予に、かゝる事を聞かせし事あり。浅草田圃のおおとり神社は野見のみ宿禰すくねまつれるより、はに作る者の同所の市の日に、今戸より土人形を売りに出してより、人形造り初めしとなん。
江戸の玩具 (新字旧仮名) / 淡島寒月(著)
よし原という景物があり、廃娼問題も起らぬ明治中期の全盛時代、おおとり神社には相済まぬが、酉の町を付けたりにして大ビラに吉原見物、水道尻の非常門が開いて老若男女、足は自然に廓内へ向う。
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
十二時前から人々はおおとり神社につめかけている。
如何なる星の下に (新字新仮名) / 高見順(著)