しやちほこ)” の例文
熱田の宮のこんもりとした森を左に、夕日の輝く金のしやちほこを右に眺めて、名古屋のステーシヨンに近づいて來る汽車の窓にりかゝつてゐる小池の姿が、眼の前に見えるやうである。
兵隊の宿 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
日露戰爭にちろせんさうのすぐ以前いぜんとはひながら、一圓いちゑんづゝにかぞへても、紙幣さつ人數にんず五十枚ごじふまいで、きんしやちほこ拮抗きつかうする、勇氣ゆうきのほどはすさまじい。とき二月きさらぎなりけるが、あまつさへ出陣しゆつぢんさいして、陣羽織ぢんばおりも、よろひもない。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)