髪容かみかたち)” の例文
身綺麗みぎれいにはしていても髪容かみかたちかまわない。それなのにあの円顔の目と口とには、複製図で見た Monnaモンナ Lisaリイザこびがある。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
髪容かみかたちや着物のさんざんになって帰って来たところを見れば、かなりヒドイ目に遭って来たのだろうと思われるにもかかわらず
艶麗えんれいにあらわれた、大どよみの掛声に路之助ふんした処の京の芸妓げいこが、襟裏のあかいがやや露呈あらわなばかり、髪容かみかたち着つけ万端。無論友染の緋桜縮緬ひざくらちりめん
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
出立の日となると、蜂須賀七内はすっかり髪容かみかたちまで変えて、清洲きよすの油問屋の註文取という旅拵たびごしらえをして出かけた。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
髪容かみかたちもつくろわず、身なりも木綿物ずくめで、こういう繁華の場所へ出て来るのであるから、裕福の家の娘でないことは判り切っていたが、それが町人や職人の子でないこともすぐに覚られた。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
髪容かみかたち『嬉しやこれでお美しい、玉の光が見えました。娘があらば、ああかうと、物珍しい心から、余計な世話まで焼きたがる、うるさい婆とお怒りなく。私が申しまする事も、一ツ聞いて下されますか』
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
「さうです、さうです。しかも大層褒めてゐましたよ。胸の格好が好い。目附が好い。それから髪容かみかたちが好い。まるで旨い菓子のやうだ。だが女ではないと云つて、笑つたです。まだあの人も若いですからな。」
半月ばかり、身にいたはりがあつて、つとめを引いて引籠ひきこもつて居たのが、此の日修法しゅほうほどき、満願の御二方おふたかた心祝こころいわいの座に列するため、久しぶりで髪容かみかたちを整へたのである。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
白糸 (じろりと、その髪容かみかたちながむ)村越さんのお住居すまいはこちらで?
錦染滝白糸:――其一幕―― (新字新仮名) / 泉鏡花(著)