馬盥ばだらい)” の例文
馬盥ばだらいだのふいごだの稲扱いねこきだのが置いてあったが、そのずっと奥の方に、裸体はだか蝋燭が燃えており、それを囲繞かこんで、六人の男が丁半しょうぶを争っていた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
つづいて十一月には一番目『太功記たいこうき馬盥ばだらいより本能寺ほんのうじ討入まで団洲だんしゅう光秀みつひで菊五郎春永はるながなり中幕団洲の法眼ほうげんにて「菊畑きくばたけ」。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
木挽町こびきちょうはなかなか景気がようござんしたよ。御承知でしょうが、中幕は光秀の馬盥ばだらいから愛宕あたごまでで、団十郎の光秀はいつもの渋いところを抜きにして大芝居でした。
山月の脚に、腫物はれものができたので藤吉郎は、馬盥ばだらいの湯で、馬のすねを洗ってやっていたのである。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)