びたい)” の例文
長い顎から禿げびたいまでが、その面長をよけいにのぺッと見せているが、富裕で子福者らしい人相をさまたげてはいなかった。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
富士びたいで、細い眉、おんもりとした高い鼻、ちょっと酷薄ではあるまいか? 思い切って薄い大型の口、だが何より特色的なのは、一見黒くよく見ればみどり、キラキラ光るひとみである。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
権次郎は四十男のしたたかびたいを撫でて、ヒョコヒョコとお辞儀をしました。
唐犬びたいの伊達とは違って、黒羽二重の紋服に、業刀わざものらしい二本の大小、りゅうと長めに落して、いつも二人の乾分を連れ、深編笠の目堰めせきから、チラとのぞけるおもざしは絶世の美男子
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)