シキ)” の例文
B○……海路に出でゝ、惶八神の渡りは、吹く風ものどには吹かず、立つ浪もおほには立たず、シキ波の立ちふ道を……(同巻十三)
山風はシキりに、吹きおろす。枝・木の葉の相軋アヒヒシめく音が、やむ間なく聞える。だが其も暫らくで、山は元のひつそとしたけしきに還る。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
朝曇り後晴れて、海のやうに深碧フカミドリいだ空に、昼過ぎて、白い雲がシキりにちぎれ/\に飛んだ。其が門渡トワタる船と見えてゐる内に、暴風アラシである。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
 ○……海路に出でゝ、吹く風も母穂には吹かず、立つ浪ものどには立たず恐耶神の渡りのシキ浪のよする浜べに、高山をへだてに置きて……(同)
山背ヤマシロにいけ 鳥山。いけいけ。わが愛妻ハシヅマに いシキ逢はむかも
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)