面上めんじょう)” の例文
侍「おのれ下手したでに出れば附上つけあがり、ます/\つの罵詈暴行ばりぼうこう、武士たるものゝ面上めんじょうに痰を唾き付けるとは不届ふとゞきな奴、勘弁が出来なければうする」
仕損しそんじたり——とおもったか佐分利五郎次、おれた刀をブンと忍剣の面上めんじょう目がけて投げるがはやいか、きびすをめぐらして、いっさんに逃げだしていく。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼女はその仕事を無心で勤めているらしいのだが、結い上げた首の髪かたちを点検するが如く死人の面上めんじょうへ眼をそゝぐときに、必ずあのなぞのような笑いが頬に上った。
この男はいかにも生気溌剌せいきはつらつとして、健康そのものが面上めんじょうに躍動している観があった。
が、やがてその面上めんじょうには、決心の色がうかんできた。
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
忍剣にんけん龍太郎りゅうたろう面上めんじょうには、みるまに、青い怒気どきがのぼった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ロッセ氏の面上めんじょうには、いたく感激の色が現れた。