霜焼しもやけ)” の例文
旧字:霜燒
「もうすぐあたたかくなるよ、雪をさわると、すぐ暖くなるもんだよ」といいましたが、かあいい坊やの手に霜焼しもやけができてはかわいそうだから、夜になったら、町まで行って
手袋を買いに (新字新仮名) / 新美南吉(著)
仏蘭西国境の山地寄りの方では塹壕ざんごうが深く積雪のために埋められたとか、戦線に立つものの霜焼しもやけを救うために毛布を募集するとか、そうした労苦を思いやる市民の心がその日まで続いて来た。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
此処で又紛々ごたごたと入乱れ重なり合って、腋の下から才槌頭さいづちあたま偶然ひょっと出たり、外歯そっぱへ肱が打着ぶつかったり、靴のかかと生憎あいにく霜焼しもやけの足を踏んだりして、上を下へと捏返こねかえした揚句に、ワッと門外もんそとへ押出して
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
いかな見え坊の細君もここに至って翻然ほんぜん節を折って、台所へ自身出張して、飯もいたり、水仕事もしたり、霜焼しもやけをこしらえたり、馬鈴薯ばれいしょを食ったりして、何年かの後ようやく負債だけは皆済かいさいしたが
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)