難有ありがたく)” の例文
盆栽の写真十八枚御贈り被下くだされ難有ありがたく奉存ぞんじたてまつり候。盆栽のことはわれわれ何も存ぜず候へども、定めて日々の御手入おていれも一方ならざる事と存候。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
かんしんいたし候ゆえ文して申遣もうしつかわし参らせそろ左候さそうらえば日にまし寒さに向い候えどもいよいよかわらせなく相くらされこのかたも安心いたしおり候ととさんともうしかかさんと申誠に誠に難有ありがたく………
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
自分は舌の根まで込み上げて來た不快を辛くも噛み殺して、今日は餘儀なく課外を休んだ。一體自分は尋常科二年受持の代用教員で、月給は大枚金八圓也、毎月正に難有ありがたく頂戴して居る。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
御文細々拝見、先般も難有ありがたく候。皆々様、御安全めで度、くれぐれ御悦申上候。小生年賀にて森さまへさし上候事細々御示。御老人さまへは歓之事よろこびのこと難有存候。此度森さま御祝品御入念痛入いたみいり候。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
コーヒーと紅茶とは至って好きで喜んで飲みますが、抹茶は余り難有ありがたく思いません。今日は右コーヒーと砂糖とが得難いので困っていますが、しかしヤミで買えば何んとかなるようです、呵々かか
陳者のぶれば客歳六月該場開業之みぎり、各位御招待申上候御報謝として、華麗之引幕一張御恵賜被成下、御芳志之段難有ありがたく奉拝受候。就ては該場現今之光栄は申すに不及およばず、後代之面目と相成、大幸不過此これにすぎずと奉存候。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)