附文つけぶみ)” の例文
女もしまいにれて来て、鉄釘かなくぎ流の附文つけぶみなどをするようになる。こうなると、いくら偏人でも打っちゃって置くわけにも行かない。
半七捕物帳:36 冬の金魚 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
まるで嘘のような話だけれど、必らずしも嘘でない証拠には某女学校で佐治に附文つけぶみをしたため退学された生徒が二人まである。
偽悪病患者 (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
ノブ子さんには大学生が口説いたり附文つけぶみしたり、マーケットの相当なアンちゃん連が二三人これも口説いたり附文したり
青鬼の褌を洗う女 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
端書だからツイくしてしまって今では一枚しか残っていないが、「上田の附文つけぶみ標準語に当惑し」、「先生の原稿だぞと委員云ひ」というようなのがあった。
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
大演習に来合はせた飛行将校の一人が、態々わざ/\祇園町の空で低空飛行をして、芸妓あての附文つけぶみを空から落した。それが為に軍法会議が開かれるといふ噂がある。
同級の餓鬼がき大将の、口髯の目立つ様な大柄な少年から、木下文子に(彼女は尋常部の三年生であった)附文つけぶみをするのだから、その代筆をしろと命じられたのである。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そのお君を別にして……まさか米友を見初みそめて附文つけぶみをしようという女があろうとは思われません。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一度自分に附文つけぶみなどをしてから、妙に疎々うとうとしくなっていたあの男が、婚礼の晩にどんな顔をして来るかと思うと、それが待遠しいようでもあり、不安なようでもあった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
名が書いてある……多助どのへおさくより……アハハヽこれでは丸で附文つけぶみのようだ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
運動家にも似合わない臆病さを以て、女中への附文つけぶみを、食べて了った夕飯のお膳の上へ、のせて見たり、思い返して、引込めて見たり、又のせて見たり、モジモジと同じことを繰返している光景
屋根裏の散歩者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
附文つけぶみかな」
木馬は廻る (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)