間諜スパイ)” の例文
「彼らはわれわれの友人を捕えている、しかしわれわれの手にも向こうのひとりがはいっている。君はこの間諜スパイを殺すつもりか。」
そっと手から手へ渡すという仕組みなのさ……実に敵ながら天晴あっぱれ、赤外線を使ったのは間諜スパイ戦はじまって以来是が最初だろうよ
亡霊ホテル (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
で、いま博士の令嬢から博士の変死を聞いた私は、博士が毒瓦斯の秘密を奪おうとする間諜スパイのために殺されたのではないかと思ったのです。
髭の謎 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
当時赤露非常委員会チェカ間諜スパイ連が企てていた白系巨頭暗殺計画に備えて、時刻はずれの鳴鐘を以って異変の警報にする——と云う条項があったからである。
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
愛国者と称せられるバーサッドはお傭い間諜スパイで、友を売る人間であり、他人の血を売る鉄面皮な商人であり
タイのバンコックの海軍の軍医少将で、シュミトラさんというオッサンは、何か私が日本の間諜スパイで、タイの気象状況でも知りたがっていると勘違いしたのであろう。
雷嫌いの話 (新字新仮名) / 橘外男(著)
この半時間程、私は窓からあなた方を見てゐたのですよ、こんな間諜スパイみたいなことをしたのを勘忍してね、だつて長いこと、何だか分らないけれど私想像してゐたのよ。
「それは驚きましたね、小山さん! 貴君あなた間諜スパイでも使つてゐるのぢやないの? おツほゝゝ。」
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
先輩がしげしげ来て選手を励ましたり、みずから間諜スパイとなって敵の選手の漕力を測ったりした。ある日久野は舵を水原という先輩に頼んで、自身でスパイに出たことがあった。
競漕 (新字新仮名) / 久米正雄(著)
ただ犯跡はんせきが明白にわからないのと、君が前から海龍倶楽部の一員として活躍し相当彼等のためにもなっているところから、たとえ間諜スパイでも今殺すのは惜しいものだと躊躇ちゅうちょしているのだよ。
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「悪漢! 人殺し! 間諜スパイ!」
計略二重戦:少年密偵 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
かれは間諜スパイであったそうだ。
朝鮮浪人はいつの間にか外国の間諜スパイになって、大事な国家の秘密を奪おうとしたんだ。だが、天は悪人に加担しないよ。
髭の謎 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
そこに集ったモンセーニュールの信者たちの中にまじっている間諜スパイ——それはその優雅な来客の半分ほども占めていたが——でも、その社会の天使たちの中に
自分の追跡をゆるませ、いっそう大きな事件のうちに自分のことを忘れさせ、いつも間諜スパイが喜ぶ待ち甲斐のある報酬をジャヴェルに与え、自分は三十フランをもうけ、そして
「それは驚きましたね、小山さん! 貴君あなた間諜スパイでも使っているのじゃないの? おッほゝゝ。」
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
本能的に是は間諜スパイ事件に相違ない! と思ったんだ……すると毎朝あの三人の外人が、きまってロビイへ朝飯に来る事、その給仕はあの男に限っている事などがはっきり思出された。
亡霊ホテル (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
『流線間諜スパイ』は「つはもの」に連載されたスパイ小説である。
『地球盗難』の作者の言葉 (新字新仮名) / 海野十三(著)
君はかつて自分で間諜スパイをやっていたことがあるか? いいや、自分はそういう卑劣なあてこすりを軽蔑する。君は何によって衣食しているか? 自分の財産によってだ。
その秘密を奪うために欧米諸国から間諜スパイが入り込んでいるとさえ評判されているのです。
髭の謎 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「——ところで、どうして先生は是を間諜スパイ事件だとお気付きになりましたか?」
亡霊ホテル (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
おそらくあの間諜スパイとあの徒刑囚との間には、憎悪ぞうおの念があったに違いない。互いに邪魔になっていたのであろう。それでジャン・ヴァルジャンは復讐ふくしゅうをしに防寨ぼうさいへきたのだ。彼は遅くやってきた。
「ここから最後に出る者が、この間諜スパイの頭を打ちぬくんだ。」
「黙れ、間諜スパイめが!」とひとりの労働者は叫んだ。
「こいつは間諜スパイだ。」とアンジョーラは言った。