閉籠とじこ)” の例文
……まる三年以上も、彼を取巻き、押えつけ、閉籠とじこめていたもの、どす黒く重苦しい壁のようなものがはたし状を書いた刹那せつなに崩れた。
はたし状 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
『ハテナ……ここはどこで、今はいつで、俺は何という名前の人間なんだろう』とか『おれは一体、何のためにこんな処に閉籠とじこめられているんだろう』
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ラプンツェルは、世界せかい二人ふたりいくらいのうつくしい少女むすめになりました。少女むすめが十二さいになると、魔女まじょもりなかにあるとうなかへ、少女むすめ閉籠とじこめてしまった。
三日ほど雨に閉籠とじこめられた気晴しの散歩かたがたわたしは物買いにと銀座へ出掛けた。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
其女子を深く家の中に閉籠とじこめ置かざりしが故なりやと言うに、必ずしも然らず。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)