鎧具足よろいぐそく)” の例文
裏の雑木林から寺の方へ、権平の走ってゆく跫音あしおとが遠ざかってゆく。そのまに秀吉は小姓たちに介添かいぞえされながら、手早く鎧具足よろいぐそくを着けていた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一千の兵馬の足音と、炎天に焼けきった鎧具足よろいぐそくの音は、ざッ、ざッ、ざッ——と、鳴り揃って、それが皆
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見ていろ、おどしだの、籠手脛当こてすねあてなど、鎧具足よろいぐそくを山と積んで、多寡をくくッていようものなら、ここの仕事場へも、六波羅検断所の御人数が、御用ッとばかり、やって来るから
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで二人の御主人は、花やかな鎧具足よろいぐそくを着けて歩いていては、人目につくからと、二領の鎧を脱ぎ重ね、それを旗で巻いた上、さらにむしろぐるみにして、わしの背へになわせた。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ようやく涼秋りょうしゅうの八月になりかけた頃、半兵衛重治のやまいがどっと重くなって、もう今度は二度と、その病骨に、鎧具足よろいぐそくもまとえまいと思われるような容体におちいったことであった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、明智方でも、ここの攻撃には、本能寺のような急襲猛突をとらなかったため、信忠以下は驚愕きょうがくのうちにも、なお鎧具足よろいぐそくに身をかため、前後の策を議するいとますらあった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、その鎧具足よろいぐそくにかためている手や体が、すこしも窮屈そうに見えなかった。むしろさびた釜と茶碗としかないこの室にあっては、この老将の装束しょうぞくがひとつの華麗な道具にすら見える。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)