銃口すぐち)” の例文
にじり上がりの屏風の端から、鉄砲の銃口すぐちをヌッと突き出して、毛の生えたひきがえるのような石松が、目を光らしてねらっております。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
(雁は不時にはきたらず、くべき時あり、しもにいふべし)雁を見ればかの穴より銕炮てつはう銃口すぐちをいだしてうつ也、かくするを里言りげんにゆきんだうといふ、ゆきだう也。
片手かたてづまみの大皿おほざらすしは、鐵砲てつぱう銃口すぐちそろへ、めざすてきの、山葵わさびのきいたあかいのはとくのむかし討取うちとられて、遠慮ゑんりよをした海鰻あなごあまいのがあめのやうに少々せう/\とろけて、はまぐりがはがれてる。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)