鉄釉てつぐすり)” の例文
鉄釉てつぐすり一色で模様も何もありませんが、この釉薬くすりが火加減で「天目てんもく」ともなり「あめ」ともなり「かき」ともなり時としては「青磁せいじ」ともなります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
米沢から遠くない所に成島なるしまと呼ぶ窯場があります。鉄釉てつぐすりの飴色や海鼠なまこ色で鉢だとか片口だとかかめだとかを焼きます。仕事はまだそこなわれてはおりません。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
しっかりした感じでは出色の窯だといっていい。鉄釉てつぐすり海鼠なまこの色が流れ出たものは多彩で特に見堪みごたえがする。昔は陸前のみならず陸中の南部にもこの水甕は行き渡った。
現在の日本民窯 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
近年この窯で鉄釉てつぐすりの地に絞描しぼりがきで線を引いた丼鉢どんぶりばちを作りました。大型も小型もこしらえます。調子がはなはだよく、どんな台所に入っても、また卓上で用いられてもよいでありましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
窯は小野村おのむら喜阿弥きあみだといわれる。益田から西方一と駅である。そこで鉄釉てつぐすりわんやらつぼやら土瓶どびんやらが出来る。まだマンガンやらクロームに犯されていないから、釉がほんものである。
雲石紀行 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
ごく古い鉄釉てつぐすりのものも支那系のものが多いであろう。第二は朝鮮系のものである。これは文献上にもしばしば出てくる。例の慶長の頃、朝鮮の陶工が沖縄に移住して製陶の法を伝えた。
現在の日本民窯 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)