鈎縄かぎなわ)” の例文
と、下からも呼び返しながら、はやその張飛をはじめ、荊州の味方は、たちまち、八方から鈎縄かぎなわを飛ばして、呉船のまわりに手繰たぐりついた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曳声えいごえを揚げて……こっちは陽気だ。手頃な丸太棒まるたんぼう差荷さしにないに、漁夫りょうしの、半裸体の、がッしりした壮佼わかものが二人、真中まんなかに一尾の大魚を釣るして来た。魚頭を鈎縄かぎなわで、尾はほとんど地摺じずれである。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
螺旋状らせんじょう梯子口はしごぐちから二そうへかけ上がり、それより上は階段かいだんがはずされてあるので、鈎縄かぎなわ、あるいは数珠梯子じゅずばしごなどを投げかけ、われ一ばんりとよじのぼっていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あれから、何度も船を出して、鈎縄かぎなわを下ろしてみたり、継竿つぎざおに引っ掛を付けて、探ってみたりしたが、場所は、生憎あいにくと思いのほか水深すいしんがあって、そんな楽な手段では揚りそうもなかった。
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ポーンと鈎縄かぎなわを投げられたのを伊那丸はまったく夢にも知らずにいる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ブーンとその時一本の鈎縄かぎなわ、右舷の下から高くおどった。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
周馬はいまいましそうに鈎縄かぎなわのほうへ取ッついた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)