金方きんかた)” の例文
どうもがんりきの野郎の眼力がんりきをもってして、五人のうちのどれが金方きんかただか、ちょっとわからないのが自分ながら歯痒はがゆい。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
赤ら顔の大入道の、首抜きの浴衣の尻を、七のずまで引めくったのが、苦り切ったる顔して、つかつかと、きざはしを踏んで上った、金方きんかたか何ぞであろう、芝居もので。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それを金主(金方きんかたともいう)に見せて、その承諾を得た上でなければ開場することが出来ない。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
赤ら顔の大入道おおにゅうどうの、首抜きの浴衣ゆかたの尻を、しちのづまでひきめくつたのが、にがり切つたる顔して、つか/\と、きざはしを踏んであがつた、金方きんかたなんぞであらう、芝居もので。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
普請事というのは何か鉄砲の煙硝蔵えんしょうぐらを立てるとかいうことなんだそうだ、なにしろお上の仕事だから、小さな仕事ではあるめえと思う、お金方きんかたも出張っているだろうし
そのどちらかに金方きんかたをしますと、その助けを得た方が勝ちます、勝って後は、そのお金持がいよいよ大きくなります——それにそむかれたものは破れ、それが力を添えたものが勝つ
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
車馬しゃばの通行をめた場所とて、人目の恥に歩行あゆみも成らず、——金方の計らひで、——万松亭ばんしょうていと言ふみぎわなる料理店に、とにかく引籠ひっこもる事にした。紫玉はただ引被ひっかついで打伏うちふした。が、金方きんかたは油断せず。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それに普請ふしんのお金方きんかたとやらも詰めている塩梅あんばいはねえし、ふりの宿屋と別に変った事はねえ、なにも俺らと兄貴が、こうして息を詰めて仕事にかかるがものはねえんだ、兄貴にしちゃあ
車馬の通行を留めた場所とて、人目の恥に歩行あゆみもならず、——金方きんかたの計らいで、——万松亭ばんしょうていというみぎわなる料理店に、とにかく引籠ひっこもる事にした。紫玉はただ引被ひっかついで打伏した。が、金方は油断せず。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)