酸味すみ)” の例文
その代り食べ頃はたった一日か二日でその時食べないときに腐敗しかけて酸味すみびます。そうなるとモー食べられません。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「いま思えば、卯木どのは、一ト月ほど前から、ひそかに酸味すみを好んでいた風でもある。よくよく思い余った末か」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
首をかしげたが、何か思いあたったと見え、やがて、月光の中で、唇をゆがめ、酸味すみある笑い方をしたかと思うと、「弱いところを握られた女へ、金の他に頼みといっては、さあ、ホッ、ホッ」
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
唐辛とうがらしが出来る時分には辛味のお料理が身体に必要ですし、梅の実のなる時分は人の身体に最も酸味すみを要する時だと申します。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
梅干の餡は梅干の酸味すみをよく煮出にだしてそのつゆへ少しお酒を加えてくずを溶き込んでドロドロにしたのです。梅餡は何にかけても美味おいしゅうございます
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
玉江「梅は酸味すみがあって美味おいしゅうございますね、私どもでは生梅なまうめが沢山とれますから色々なものに使いたいと思いますがどうしたらようございましょう」
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
これだけでもなかなか結構ですが菓物のシチューを添えて食べると酸味すみと甘味でいよいよ美味おいしくなります。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
それを抜いて皿へ盛って桃とかあんずとか酸味すみのある菓物くだものの煮たのと附合せて食べると大層美味しゅうございます。お米の粉でこの通りにこしらえると一層上等になります。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
暑い時分には冷たくってどんなに美味うございましょう。本式にするとその側へ菓物の煮たのを添て一緒に戴きますが甘味と酸味すみで大層結構です。桃の煮たのはことにようございますね。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)