選取よりど)” の例文
あまつさえ酔に乗じて、三人おのおの、そのうち三婦人の像をゆびさし、勝手に選取よりどりに、おのれに配して、胸をで、腕をし、耳を引く。
一景話題 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
言うけれど、世話になった女の人に言わせると、異人は情が深くって、実があって、それにお金は糸目なしに本国から来る、宝石や、羅紗らしゃは好きなのが選取よりどりに貰える、ほんとうに異人はいい、異人さんに限る……
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「怪しからん。黒と白との、待て? 海老茶と緋縮緬ひぢりめんの交換だな。いや、可いつらの皮だ。ずらりと並べて選取よりどりにお目に掛けます、小格子の風だ。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
どの玩弄物おもちゃ欲しい、とわしが問うたでの、さきへ悦喜の雀躍こおどりじゃ、……這奴等しゃつら、騒ぐまい、まだ早い。殿たち名告なのらずば、やがて、ろう、選取よりどりに私がってろう!
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)