遣込やりこ)” の例文
照子嬢も声鋭く、「それは売物です。」と遣込やりこむれば、濶歩おおまたに引返し、「だから最初はじめに聞いたじゃないか、価値ねだんわかれば払うのさ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いつも宿り客の内幕を遠慮も無く話しちらすに引代ひきかえて、余計な事をおといなさるなと厳しく余を遣込やりこめたれば余が不審は是よりしてかえって、益々つの
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
話の調子の低いのが天性もちまえである養父は、かさにかかって言募って来るおとらの為めに遣込やりこめられて、しまいにはなだめるようにことばを和げたが、矢張やっぱりいつまでもぐずぐず言っていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)