返報へんぽう)” の例文
彼は、私がこの廣い世間に友もなく、身を投げ出す程なら、返報へんぽうに接吻するとまでも望まない位で、彼の財産の半分を私に與へたであらう。
三度さんど笑う)云わば甚内を助けると同時に、甚内の名前を殺してしまう、一家の恩を返すと同時に、わたしのうらみも返してしまう、——このくらい愉快な返報へんぽうはありません。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
っぽけなぶんざいをしやがって、よくも武田伊那丸たけだいなまる諜者ちょうじゃになって、人穴ひとあなへ飛びこみ、おかしらはじめ、多くの者をたぶらかしやがったな。その返報へんぽうだ、こうしてやる! こうしてやる
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
棍棒ばうぎれのやうに揮𢌞ふりまはして、われ我手わがてこの腦天なうてんをばくだきゃせぬか? あれ/\! チッバルトの怨靈をんりゃうが、細刃ほそみられた返報へんぽうをしようとて、ロミオを追𢌞おひまはしてゐるのがゆるやうぢゃ! あ、あれ
今度は返報へんぽうがきた。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)