やうや)” の例文
斯くてつべきに非ざれば、やうやく我れと我身に思ひ決め、ふと首を擧ぐれば、振鈴の響耳に迫りて、身は何時いつしか庵室の前に立ちぬ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
御年やうやく二十二、青絲せいしみぐし紅玉こうぎよくはだへ平門へいもん第一の美男びなんとて、かざす櫻も色失いろうせて、何れを花、何れを人と分たざりけり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
本郷臺をサスかけて下りける時、丸山新町と云へるを通りたることありしが、一葉女史がかゝる町の中に住まむとは、告ぐる人三たりありて吾等やうや首肯うなづきぬ。
掻き亂れたる心、やうやう我に歸りて、熟〻つら/\思へば、世を捨つるとは輕々しき戲事ざれごとに非ず。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)