軽浮けいふ)” の例文
批評家ツてものは口が悪いの子、貴方あなたの作を浅薄だの軽浮けいふだのと失敬だワ。わたしは貴方の小説が一番好きよ、肩が張らなくツて読心よみごゝろが好いツと。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
人は労苦をともにして、はじめて本心のよく分るもの、まだ彼と知ることの日は浅いが、義にもじょうにも、そんな軽浮けいふでないことはよく分っている。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
又それに比例した強硬な脊髄を有して居ないといふ意味に於て、浅薄な活動写真だの軽浮けいふなセンセーシヨナル小説だのとえらぶ所がないやうな気になる。
点頭録 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
軽浮けいふにして慓悍ひょうかんなるもの、慧猾けいかつにして狡獪こうかいなるもの、銭を愛するもの、死を恐るるもの、はじを知らざるもの、即ちハレール、セイーの徒の如きは、以て革命家の器械となるを得べし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
一 詩歌しいか小説は創意を主とし技巧をひんとす。技芸は熟錬を主として創意を賓とす。詩歌小説の作措辞そじ老練に過ぎて創意乏しければ軽浮けいふとなる。然れどもいまだ全く排棄すべきにらず。
一夕 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
家康は、その軽浮けいふおごりを、いましめて、近習きんじゅの口から諸士へ伝わるように、わざと話した。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)