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踴
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おど
ふりがな文庫
“
踴
(
おど
)” の例文
左右に長い
鬣
(
たてがみ
)
を振乱して牝馬と一緒に
踴
(
おど
)
り狂って、風に向って嘶きました時は——
偽
(
いつわり
)
もなければ飾もない野獣の本性に返りましたのです。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
今日は
高知
(
こうち
)
から、何とか
踴
(
おど
)
りをしに、わざわざここまで
多人数
(
たにんず
)
乗り込んで来ているのだから、是非見物しろ、めったに見られない
踴
(
おどり
)
だというんだ
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もう一人の老人——蔵人は老人と老婆へ声を掛け、パッとその間へ身を
踴
(
おど
)
らせ、ひたと火柱に向かい合った。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
曾て
頬
(
ほお
)
へ触れるまでに低く
垂
(
た
)
れ下った枝葉の青い香を
嗅
(
か
)
いだ時は何故とも知らぬ
懐
(
なつ
)
かしさに胸を
踴
(
おど
)
らせたというその青年を胸に描いて見た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しばらくは、
何処
(
どこ
)
をどう歩いているか夢中であった。その間代助の頭には今見た光景ばかりが
煎
(
い
)
り付く様に
踴
(
おど
)
っていた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「ナニ狐?」と紋兵衛は、恐怖の瞳を
踴
(
おど
)
らせたが、「追ってくだされ! 俺は狐が大嫌いだ!」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
読めば読むほど、捨吉は
精神
(
こころ
)
の勇気をそそぎ入れらるるように感じた。彼は波のように
踴
(
おど
)
り騒ぐ自分の胸を押えて、勝子を見るにも
堪
(
た
)
えられなくなって来た。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
鈴ちゃん僕が
紀伊
(
き
)
の国を
踴
(
おど
)
るから、一つ
弾
(
ひ
)
いて頂戴と云い出した。野だはこの上まだ踴る気でいる。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
隣の室の方からは子供の泣声も聞えて来た。時々お房の傍へ寄って、眼の上の白い布を取除いて見ると、子供の顔は汗をかいて紅く成っている。胸も高く
踴
(
おど
)
っている。
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼の頭の中には職業の二字が大きな
楷書
(
かいしょ
)
で焼き付けられていた。それを押し退けると、物質的供給の
杜絶
(
とぜつ
)
がしきりに
踴
(
おど
)
り狂った。それが影を隠すと、三千代の未来が
凄
(
すさま
)
じく荒れた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
狸は大方
腹鼓
(
はらつづみ
)
を
叩
(
たた
)
き過ぎて、胃の位置が
顛倒
(
てんどう
)
したんだ。君とおれは、いっしょに、祝勝会へ出てさ、いっしょに高知のぴかぴか
踴
(
おど
)
りを見てさ、いっしょに喧嘩をとめにはいったんじゃないか。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
踴
漢検1級
部首:⾜
16画
“踴”を含む語句
踴躍
裸踴
踴躍歓喜
踴鹿野