超脱ちょうだつ)” の例文
もう生死を超脱ちょうだつしている栄三郎にとっては、左膳も、左膳の剣も、ふだん道場に竹刀をとりあう稽古台けいこだい朋輩ほうばいと変わりなかった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
物質的利益に超脱ちょうだつし、名誉、地位、得喪とくそうの上に優游ゆうゆうするを得ば、世間に行わるる勝敗は児戯じぎひとしきものとなる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
その白髪の将のうしろ姿には、さすがにもう生死を超脱ちょうだつしているなと、うなずけるだけの落着きが見えた。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いや、かえって禅の生死超脱ちょうだつの工夫を、修羅しゅらの中で、闘争のために用うる者の方がえてしまった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここは今、熊野権現ごんげんの聖地であると共に、林崎甚助にとって、生死を超脱ちょうだつした剣の道場だった。
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夢窓国師は、尊氏公の長所三ツを賞めて、一は生死に超脱ちょうだつしている、二には慈悲心ふかく人の非もよくゆるす、三には無欲恬淡てんたんで物に慳貪けんどんの風がない——と。その通りでございましょうか
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もし丹羽五郎左に、もっと肉体の健康と楽天的な超脱ちょうだつが性格にあったら
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)