赤楝蛇やまかがし)” の例文
はたと、これに空想の前途ゆくてさえぎられて、驚いて心付こころづくと、赤楝蛇やまかがしのあとを過ぎて、はたを織る婦人おんな小家こいえも通り越していたのであった。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
道のべに赤楝蛇やまかがし多きをおどろきつつ西浦上にしうらかみをもとほりて
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
枯葉に音をたてる赤楝蛇やまかがしの、その心ままなる行衛。
測量船 (新字旧仮名) / 三好達治(著)
曲角まがりかどの青大将と、このかたわらなる菜の花の中の赤楝蛇やまかがしと、向うの馬のつらとへ線を引くと、細長い三角形の只中ただなかへ、封じ籠められた形になる。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
赤楝蛇やまかがしが、菜種なたねの中を輝いて通ったのである。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)