貸元かしもと)” の例文
借りた方は精々せっせっり出して、貸元かしもとの店へ材木を並べるばかり。追っかけられて見切って売るのを、安く買い込んでまたもうける。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
山ほど、銭金を積まれたって、いやだと思ったら、どんな貸元かしもとにだって、桃ひとつ、彫りゃしないわ。それが、金五郎さんの美しい肌に惚れこんで、……まちがわないでね。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「お前さん貸元かしもとになってください」「うむ、そうか、それもよかろう」——嚇しに来た人間が大将になって、駒箱こまばこを膝へ引き寄せて、「さあ客人張りなせえ」などといって商売をする。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かきて貸元かしもとをなし願山坊主ばうずは向鉢卷にて壺を振宵より大勢おほぜい車座くるまざ居並ゐならび互に勝負しようぶ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
土台がきまると、山の貸元かしもとになって、坐っていて商売が出来るようになりました、高利こうりは貸します。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)