財産たから)” の例文
家の財産たからを皆無うにするで。杉野の家はその手本ぢやぞ。ははははは。したがお前さんはよう伊與造氏に似とる。顏かたちは生き寫しぢや。
続生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
廓内なかおほきいうちにも大分だいぶ貸付かしつけがあるらしうきましたと、大路おほぢちて二三にん女房にようぼうよその財産たからかぞへぬ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「折檻もよろしゅうございましょうが、大事なあなたのお財産たからに傷をつけたらどうなされます」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
たとひわれわが財産たからをことごとく施し、又わがからだを燒かるゝ爲にわたすとも、愛なくば我に益なし。コリント書の一節をくちずさみながら八重子のそばにゐることを、廣太郎は幸福に感じてゐた。
濡れた葦 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
そのうちに貧乏になるだろうとか、わけても小癪こしゃくにさわるのは、私の財産たからの女どもをうまうま口車に乗せおって、こっそり館から抜け出させ、他国へ逃がしてやることじゃ。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
夫れでも此方こちどものつむりの上らぬは彼の物の御威光、さりとは欲しや、廓内なかの大きいうちにも大分の貸付があるらしう聞きましたと、大路に立ちて二三人の女房よその財産たからを數へぬ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
高いおあしでせっかく買ったあなたの大事なお財産たからがあったらなくなるではございませぬか。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それでも此方こちどものつむりの上らぬはあの物の御威光、さりとは欲しや、廓内なかの大きいうちにも大分の貸付があるらしう聞きましたと、大路に立ちて二三人の女房よその財産たからを数へぬ。
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)