すがた)” の例文
雲隠れにすがたも見えず鳴いてゆく鳥の如く、ただ独りで忍び泣きしてばかりいる、というので、長歌の終に、「かくに思ひわづらひ、のみし泣かゆ」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
その頂でエリヤとモーセが現われてイエスと語り、弟子たちの前にてイエスのすがたは変わって神の栄光に輝いた。
キリスト教入門 (新字新仮名) / 矢内原忠雄(著)
その遺志をついだ本居宣長が終生の事業として古事記を探るようになって、はじめて古代の全きすがたを明るみへ持ち出すことができた。そこから、一つの精神が生まれた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
少しでも嘘を言う人はすべて嘘を言うと同じである。嘘を言うということは悪魔のすがたである。悪魔は二つの名を持っている、すなわちサタンおよびマンソンジュ(訳者注 虚言の意)の二つを。