警鼓けいこ)” の例文
常に気をつけている岡崎の船関で、今夜、時ならぬ警鼓けいこがひびき、浦曲うらわや鳴門の山にかけて、しきりと、提灯の点滅するのを海から眺めたふたりは
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
警鼓けいこを鳴らして、関門の上下では騒いでいたが、張飛はふりむきもせず、疾風のように馳けて行った。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乗りつけてみると案の定、水はここの堤をきったか、関の警鼓けいこが陰々と鳴っていた。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さびしい夜廻りの警鼓けいこ提灯ちょうちんが、半刻はんときほどの間に一、二度、ぼたん畑からうずめ門の辺を廻って、そこを通り過ぎましたが、しかし、その頃には、別だん何の異状も見えなかったのであります。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
奥庭おくにわまでは白壁門しらかべもん多門たもん、二ヵしょ難関なんかんがまだあって、そこへかかった時分には、いかに熟睡じゅくすいしていたさむらい小者こものたちも眼をさまし、警鼓けいこ警板けいばんをたたき立て、十手じって刺股さすまたやり陣太刀じんだち半弓はんきゅう袖搦そでがら
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殷々いんいんたる警鼓けいこおと、ごウーッとふといほのおいき、人のさけび、つるぎのおめき、たちの東西南北九ヵ所の門は、もうひとりも生きてはかえすまいぞと、戦時にひとしい非常のかためがヒシヒシと手くばりされた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)