謙虚けんきょ)” の例文
「おう、それほどな謙虚けんきょを持つなら、なぜふたたび、御稜威を負って、千早の勇猛心を、さらに振ッてみせんとはしないのか」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたしが、これまであった、あのような、謙虚けんきょで、正直しょうじきで、しんせつな人々ひとびとはたらいているということでなければならぬ。かりにそうしたどうしのあつまりだと想像そうぞうしてごらん。
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
生味噌と梅干と玄米くろごめの飯という簡単なものであったが、夜来の空腹は、これに舌鼓したつづみを打ってむつみ合うに充分なほど、人々の慾を謙虚けんきょにしていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それを自分でも感じるが、ここでは秀吉もひどく慎しく、謙虚けんきょを旨としているふうであった。山崎でつや、戦後、諸軍の礼をうけつつ駕籠の上から
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じゃあ、折角の、お奉行の職も、退かねばならぬではないか。大岡どのの、御謙虚けんきょはわかるが、自身の使命の大を
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「構えて、左様な、虚勢きょせいを固持しておられるうちは、仔細に、申すわけに参りません。まず謙虚けんきょをお示しなくば」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
るは唯、誠の一字、それをもって、主人を説き一族老臣も説き伏せよう。もし成らざれば成らざる上のこと——という謙虚けんきょな気持でぶつかったのである。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その栗原山へ膝をげ礼を低うして、何度となく登った頃のあの熱意と謙虚けんきょと希望の高さとを胸にあらたにするとき、秀吉はわれながら青年の血の純情さを尊くおもった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その御謙虚けんきょを見てから申し上げたいためでした。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
同時に身は出家にひとしい謙虚けんきょになっていた。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
謙虚けんきょを失っておる」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)