論客ろんかく)” の例文
もし空谷子が初対面の人で、初対面の最先さいさきからこんな話をしかけたら、自分は空谷子をもって、あるいは脳の組織に異状のある論客ろんかくと認めたかも知れない。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
黄母衣きほろ赤母衣あかほろ白母衣しろほろの三試合場しあいじょうを一じゅんし、大講会だいこうえ第一番の試合番組しあいばんぐみをふれてくるともなくかいあいずと同時に、あの祭壇さいだんの下にある大講会のむしろへ論客ろんかくがあがって
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十七歳の時はしょうに取りて一生忘れがたき年なり。わが郷里には自由民権の論客ろんかく多く集まり来て、日頃兄弟の如く親しみ合える、葉石久米雄はいしくめお氏(変名)またその説の主張者なりき。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
諸国に率先そっせんして、婦人の団結をはかり、しばしば志士論客ろんかくしょうじては天賦てんぷ人権自由平等の説を聴き、おさおさ女子古来の陋習ろうしゅうを破らん事を務めしに、風潮の向かう所入会者引きも切らず
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)