請負うけお)” の例文
「酒は好きだが、勝負事は嫌ひだつたさうで、多分大きな仕事でも請負うけおつて、手金がはひる話だらう、つて居酒屋のおやぢは言つてましたが」
案内者はこう云って、仲に立った者が此レールを請負うけおって、一間ばかりの橋一つにも五十円の、枕木一本が幾円のと、不当なもうけをした事を話す。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
斬ることは朝飯前と心得ている、近頃は仕事がなくて腕が鳴る、誰か斬る奴はないかと人斬りを請負うけおって歩くほどの男じゃ
それから東京市の街燈を請負うけおって、初めて設けたのは、例の吉原の金瓶大黒の松本でした。燈はランプで、底の方の拡がった葉鉄ぶりきの四角なのでした。
江戸か東京か (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
請負うけおい仕事なのでしょうが、とにかく、忙しく仕事をしている間と云うものは、この人たちの上に、何の暗さもかぶさっては来ないだろうとおもわれます。
今度隣りに地所を買って建前たてまえを急ぎ、このたび落成らくせいしたので、壁一切を請負うけおった関係上、黒門町の壁辰も、二、三の弟子をれて、きょうの棟上むねあげに顔を出している。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
才気と侠気きょうきが備わっているので、人をぎょすのが上手、町人になって、屋根請負うけおいを始め、やがて、諸侯の普請ふしん人足を請負うようになり、また、土地の売買をやったりして
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それまで仕売物ばかりこしらえている或工場に働いていた小野田は、そんな仕事が仲間の手にあふれるようになってから、それを請負うけおうことになった工場の註文を自分にも仕上げ
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「酒は好きだが、勝負事は嫌いだったそうで、たぶん大きな仕事でも請負うけおって、手金が入る話だろう、って居酒屋のおやじは言ってましたが」
ほいと非人の階級は、頼まれれば生きた人間の磔刑はりつけをさえ請負うけおうのであるから、犬なんぞは朝飯前のものであります。
壁を請負うけおった壁辰の親方のすがたを物色ぶっしょくした。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)