はなし)” の例文
鯰の方が若い娘を、……あとは言わずともかろう。例証は、遠く、今昔物語、詣鳥部寺女のはなしにある、と小県はかねて聞いていた。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、翌日になつて見ると、劍持の話した體操教師のはなしが不思議にも私の心に刻みつけられたやうに殘つてゐた。
我等の一団と彼 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「寝ているんですかえ」と云いながら屏風の上から胸まで出して覗き込んで云ったという怪しい女郎のはなし
怪談 (新字新仮名) / 平山蘆江(著)
あなたのひざの上には絵本が置かれ、悲しいはなしのところが開かれてあった。それを母様は読んで下さる。——それはもうまえに百遍も読んで下さった物語であった。
少年・春 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)