角絞つのしぼ)” の例文
駒下駄のちょこちょこあるきに、石段下、その呉羽の神の鳥居の蔭から、桃割ももわれぬれた結立ゆいたてで、緋鹿子ひがのこ角絞つのしぼり。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのなが六畳の、成りたけ暗そうな壁の処へ、紅入友染べにいりゆうぜんの薄いお太鼓を押着おッつけて、小さくなったが、顔のあかるい、眉の判然はっきりした、ふっくり結綿ゆいわた角絞つのしぼりで、柄も中形も大きいが
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
沢山ある髪を結綿ゆいわたに結っていた、角絞つのしぼりの鹿の子のきれ浅葱あさぎと赤と二筋を花がけにしてこれが昼過ぎに出来たので、衣服きものは薄お納戸の棒縞ぼうじま糸織のあわせ、薄紫のすそ廻し、唐繻子とうじゅすの襟をかけ
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)