衛門督えもんのかみ)” の例文
私の叔父おじのおくなりになった式部卿しきぶきょうの宮が秘蔵しておいでになったのを、あの衛門督えもんのかみは子供の時から笛がことによくできたものだから
源氏物語:37 横笛 (新字新仮名) / 紫式部(著)
六衛府の長官は、中納言で、衛門督えもんのかみであり、その下に、金吾、大夫、じょう帯刀たちはきなどの諸官がいる。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今の世間の者は昔の音楽の盛んな時を知らないからでもありますか衛門督えもんのかみの和琴、兵部卿ひょうぶきょうの宮様の琵琶びわなどを激賞いたします。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
「もうお心安くなったのですから、衛門督えもんのかみをお取り扱いになりましたごとく、私を他人らしくなく御待遇くださいますように」
源氏物語:36 柏木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
こんなことを使いに言わせて来るのにももっともなところがあって、衛門督えもんのかみは母へ同情をせずにはおられないのであった。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
なんらかのすぐれたところを持っている者の死は常に悲しく思召おぼしめす方であったから、柏木かしわぎ衛門督えもんのかみはまして朝夕にお出入りしていた人であったし
源氏物語:37 横笛 (新字新仮名) / 紫式部(著)
結局衛門督えもんのかみは望みどおりに女三の宮の猫を得ることができて、夜などもそばへ寝させた。夜が明けると猫を愛撫あいぶするのに時を費やす衛門督であった。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
もっと言いたいことは多かったであろうが、我慢のならぬほど苦しくなった衛門督えもんのかみは、もう帰れと手を振って見せた。
源氏物語:36 柏木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
私の妹で以前の衛門督えもんのかみの未亡人の尼君が、くしました女の子の代わりと思いまして、その人を愛して、それで自身も幸福を感じていましたわけで
源氏物語:55 手習 (新字新仮名) / 紫式部(著)
按察使あぜち大納言といわれている人は、故人になった太政大臣の次男であった。柏木かしわぎ衛門督えもんのかみのすぐの弟である。
源氏物語:45 紅梅 (新字新仮名) / 紫式部(著)
どうしてあんなにりっぱな宮様を衛門督えもんのかみは形式的に大事がっただけで、ほんとうに愛してはいなかったのであろうと大将は不思議に思われてならない。
源氏物語:37 横笛 (新字新仮名) / 紫式部(著)
と言ってとどめさせて、子息の衛門督えもんのかみごん中納言、右大弁そのほかの高官をそれへ混ぜて乗せさせて六条院へ来た。
源氏物語:44 匂宮 (新字新仮名) / 紫式部(著)
小侍従はそれでもすずりなどを持って来て責めたてるので、しぶしぶお書きになった宮のお手紙を持って、宵闇よいやみに紛れてそっと小侍従は衛門督えもんのかみの所へ行った。
源氏物語:36 柏木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
御所から中宮のお言葉を受けて宰相の兄の衛門督えもんのかみがはなばなしく随身ずいじんを引き連れ、正装姿でお使いにまいった。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
と左大臣の息子むすこ衛門督えもんのかみがそっと中宮へ申し上げたために、中宮も御心配をあそばし、みかども常から宮のお身持ちを気づかわしく思召していられたのであったから
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
遊び気分の多いものであって、鞠の上げようのよし悪しを競って、われ劣らじとする人ばかりであったが、本気でもなく出て混じった衛門督えもんのかみの足もとに及ぶ者はなかった。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
ただ今通りました子は、くなりました衛門督えもんのかみの末の息子むすこで、かわいがられていたのですが、小さいうちに父親に別れまして、姉の縁でこうして私の家にいるのでございます。
源氏物語:02 帚木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
くなった衛門督えもんのかみはどんな場合にも思い出される人だが、ことに何の芸術にも造詣ぞうけいが深かったから、こうした会合にあの人を欠くのはもののにおいがこの世になくなった気がしますね
源氏物語:38 鈴虫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
ご存じではございますまい、ただいまとう大納言と申し上げます方のお兄様で、衛門督えもんのかみでおかくれになりました方のことを何かの話の中ででもお聞きになったことがございますでしょうか。
源氏物語:47 橋姫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
以前の衛門督えもんのかみの妻でございました私の妹の尼は、一人より持っておりませんでした女の子をなくしましてから時はたっても、悲しみに沈んでおりましたのが、同じほどの年恰好としかっこうではありましたし
源氏物語:56 夢の浮橋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
衛門督えもんのかみ
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)