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行願寺内
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ぎやうぐわんじない
此だけを
心遣りに、
女房は、
小兒たちに、まだ
晩の
御飯にもしなかつたので、
坂を
駈け
上るやうにして、
急いで
行願寺内へ
歸ると、
路地口に、
四つになる
女の
兒と、
五つの
男の
兒と
岩さんが
仕事場から——
行願寺内にあつた、——
路地うらの
長屋へ
歸つて
來ると、
何かものにそゝられたやうに、
頻に
氣の
急く
樣子で、いつもの
錢湯にも
行かず、さく/\と
茶漬で
濟まして