これだけを心遣こゝろやりに、女房にようばうは、小兒こどもたちに、まだばん御飯ごはんにもしなかつたので、さかあがるやうにして、いそいで行願寺内ぎやうぐわんじないかへると、路地口ろぢぐちに、よつつになるをんなと、いつつのをとこ
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いはさんが仕事場しごとばから——行願寺内ぎやうぐわんじないにあつた、——路地ろぢうらの長屋ながやかへつてると、なにかものにそゝられたやうに、しきり樣子やうすで、いつもの錢湯せんたうにもかず、さく/\と茶漬ちやづけまして
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)