蘇生よみが)” の例文
靈氣に打たれて新なる生命に蘇生よみがへる事は疑も無い。かういふ解釋をする時には、先生の小説は極めて象徴的なものになつて來る。
津田の時々使うノンセンスと云う英語がお延の記憶に蘇生よみがえった。「小林とノンセンス」こう結びつけて考えると、お延はたまらなくおかしくなった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
サヤサヤと壁の紙銭の吊り花が灯影ほかげにうごいた。風もないのに、瑠璃灯ランプの灯はボッとすみを吹いて、いつまでその灯はゆらゆら蘇生よみがえりの冴えに戻ろうともしない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三途川さんづのかはおつこつて蘇生よみがへつた。妻「めうだね、まうれしい。女「んなお芽出めでたい事はございませんね。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
白子屋の店も蘇生よみがえったように景気を盛返した。又四郎は律義一方の男で商売にも精を出した。
黄八丈の小袖 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「はい」と芳江姫は蒼白い顔へ徐々に血の気を蘇生よみがえらせたが、「はい、どうぞ早くお連れくださいまし、もうもうこんな恐ろしい所には一刻もいるのは厭でございます」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
お浜の顔を見ると、たちまちおよつに蘇生よみがえる怨み、柱に絡んだ身体からだみにくく歪むと、眼も、口も、一瞬蒼白いほのおを潜ったように、深怨無残の悪相が、メラメラと燃え上るのでした。
芳年写生帖 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「狐狸の沙汰じゃ! 悪霊の惑わしじゃ! 一旦殺された市之丞殿が蘇生よみがえって来る訳はない! ああこんな機時とき幻灯機械があったら、土牢の内を照らして見るものを!」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
けておくれ/\、蘇生よみがへつたからけておれ。岩「なんとかひますよ、おけなさい。とふから、早桶はやをけふたを取ると蘇生よみがへつてる。妻「あらまアおまへさん助かつたのかえ。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)