華美かび)” の例文
華美かび自堕落じだらくに馴れている新領土の民には、きょうまで、信長としては極めてなまぬるい政策をとって、徐々にらして行こうという方針でいたのである。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
都会とかいが、いたずらに華美かびであり、浮薄ふはくであることをらぬのでない。自分じぶんは、かつて都会とかいをあこがれはしなかった。けれど、立身りっしん機会きかいは、つかまなければならぬ。
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
中津へ移住する江戸の定府藩士は妻子と共に大都会の軽便流を田舎藩地の中心に排列はいれつするのいきおいなれば、すでに惰弱だじゃくなる田舎いなかの士族は、あたかもこれに眩惑げんわくして、ますます華美かび軽薄けいはくの風に移り
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
あとはしまった店がすこし目立つぐらいで、街はやっぱり華美かびであった。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
カノコユリは、きわめて華美かびな花が咲く。花色紅赤色こうせきしょくで、濃紅色のうこうしょくの点がある。日本のユリ中、最もすぐれた花色をていしている。このユリは四国、九州には野生があって、いつも断崖だんがいの所に生じている。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
建築庭園にも、召使の男女の装束しょうぞくにも、都の華美かびがそのままある。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)