茶畠ちゃばたけ)” の例文
当時私の家からまず町らしい町へ出ようとするには、どうしても人気のない茶畠ちゃばたけとか、竹藪たけやぶとかまたは長い田圃路たんぼみちとかを通り抜けなければならなかった。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私は根来ねごろ茶畠ちゃばたけ竹藪たけやぶ一目ひとめ眺めたかった。しかしその痕迹こんせきはどこにも発見する事ができなかった。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
四つ目垣の向うは二三十坪の茶畠ちゃばたけでその間に梅の木が三四本見える。垣にうた竹の先に洗濯した白足袋しろたびが裏返しにしてあってその隣りには如露じょろさかさまにかぶせてある。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
或る日例のごとく吾輩と黒は暖かい茶畠ちゃばたけの中で寝転ねころびながらいろいろ雑談をしていると、彼はいつもの自慢話じまんばなしをさも新しそうに繰り返したあとで、吾輩に向ってしものごとく質問した。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なあにおれなんざ、どこの国へ行ったって食い物に不自由はしねえつもりだ。御めえなんかも茶畠ちゃばたけばかりぐるぐる廻っていねえで、ちっとおれあとへくっ付いて来て見ねえ。一と月とたたねえうちに見違えるように太れるぜ」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)