茂作もさく)” の例文
年代にすると、黒船が浦賀うらがの港をさわがせた嘉永かえいの末年にでも当りますか——その母親の弟になる、茂作もさくと云う八ツばかりの男の子が、重い痲疹はしかかかりました。
黒衣聖母 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
多摩川たまがわべりになった調布ちょうふの在に、巳之吉みのきちという若い木樵きこりがいた。その巳之吉は、毎日木樵頭さきやま茂作もさくれられて、多摩川の渡船わたしを渡り、二里ばかり離れた森へ仕事に通っていた。
雪女 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
大工の兼公かねこう肴屋さかなやかくをつれて、茂作もさく人参畠にんじんばたけをあらした事がある。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
南の暖かい国の海岸に、茂作もさくといふ若い漁師が住んでをりました。
小熊秀雄全集-14:童話集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)