肖像しょうぞう)” の例文
すると、あなたの顔ではありますが、全然、さっきの魅力を失った、ただの田舎女学生の、薄汚うすぎたなく取り澄ました、肖像しょうぞうが発見されました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
とあって、紙面の上欄に、一個奇怪な人物の写真が、大きく印刷され、その下に「世界的猛獣団長大山ヘンリー氏の肖像しょうぞう
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
まじめくさった様子で、芝居しばいで見た通り、三拍子曲ミニュエットふしにあわせて、テーブルのうえにかかっているベートーヴェンの肖像しょうぞうに向かい、ダンスの足どりや敬礼けいれいをやっていた。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
そして、れんがを積みあげてつくったらしい反射炉の図と、びっくりした人のように目玉の大きい、ちょんまげすがたの江川太郎左衛門の肖像しょうぞうが、久助君の頭にうかんだ。
(新字新仮名) / 新美南吉(著)
室の壁にはどこを見ても、西洋のの複製らしい、写真版のがくけてあった。そのある物は窓にった、寂しい少女の肖像しょうぞうだった。またある物は糸杉のあいだに、太陽の見える風景だった。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
拙い顔をしている。「驢馬ろば肖像しょうぞう」は耳け人並で全く驢馬がフロックコートを着たようだ。「何という口だろう」君は口が馬鹿におおきい。「珍世界」というのは荒刻あらぼりの仁王のように怖い顔だ。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
黒々とした毬栗いがぐり頭の下に五十年配に見える骨張った黒い顔、西郷さんの肖像しょうぞう画みたいなまっ黒な太いまゆ、そして、鼻の下には、何々将軍とでも言いたい、実に立派やかな太い八の字ひげが
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)