羽搏はゞたき)” の例文
たゞ折々をり/\きこゆるものは豌豆ゑんどうさやあつい日にはじけてまめおとか、草間くさまいづみ私語さゝやくやうな音、それでなくばあきとり繁茂しげみなか物疎ものうさうに羽搏はゞたきをする羽音はおとばかり。熟過つえすぎ無花果いちじくがぼたりと落ちる。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
己は賊等が為事しごとをしおほせて満足して逃げたなと思つた。風が静かに木々のいただきをゆすつてゐる。夜の鳥が早い、鈍い羽搏はゞたきをして飛んで行く。そして折々ピニイの木の実が湿つた地に墜ちる音がする。
復讐 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)