義貞よしさだ)” の例文
信長の本能寺にしいせらるゝ、光秀みつひで小栗栖をぐるすに刺さるゝ、義貞よしさだの敗績に於ける、義経の東走に於ける、皆罪過なくんばあらず。
罪過論 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
彼はしばしば京師に献言せり、彼は萩藩府に勧告せり、彼は孝明天皇に向って後醍醐ごだいごたらんことを希い、藩主に向って義貞よしさだ正成まさしげたらんことを望めり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
太平記をあんずるに、義貞よしさだのため一敗地にまみれ、この寺を枕に割腹焼亡した一族主従は、相模さがみ入道高時たかときを頭にべて八百七十余人、「血は流れて大地にあふれ、満々として洪河のごとく」
ハビアン説法 (新字旧仮名) / 神西清(著)
が味方の手綱には大殿(義貞よしさだ)が仰せられたまま金鏈かなぐさりが縫い込まれてあッたので手綱を敵に切り離される掛念けねんはなかッた。その時の二の大将(義興)の打扮いでたち目覚めざましい物でおじゃッたぞ
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
彼が外祖父である為子腹の尊良たかなが親王も、種々辛酸をめられ、尊氏たかうじが鎌倉に叛したときは、為冬は親王を奉じて討伐に向ったが、箱根竹下で戦歿し、親王は義貞よしさだが奉じて北陸に経略したが
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
義貞よしさだ
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「幕府より何程逆燄ぎゃくえんを奪い悖逆はいぎゃくの処置ありとも、御頓着とんちゃくなく後鳥羽ごとば後醍醐ごだいご両天皇を目的として、御覚悟定められば、正成まさしげ義貞よしさだ高徳たかのり武重たけしげの如き者累々継出つぎいでんは必然なり」
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)