しば)” の例文
あぶみが足にからまつたか、それとも手綱に腰をしばられたか、暫くは浮び上がる樣子もなく、そのまゝ引き潮に流されて、川下の方へ流れて行きます。
武はその言葉に従って、林児をしばって邑宰の所へ送った。しかし御史の家から名刺をよこしてくると、邑宰は林児をゆるしてその下男に渡して帰した。
田七郎 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
よついに這っているのであった。膝頭に草鞋わらじしばりつけてあった。両手に草履ぞうりが繋り付けてあった。膝と手とで歩いていた。彼はヒョイと顔を上げた。その顔を火の光がカッと射た。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)