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緋桜
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ひざくら
鎌倉時代から室町の頃にかけては、前期の女性を
緋桜、または藤の花にたとうれば、梅の
芳しさと、山桜の、無情を観じた
風情を見出すことが出来る。
……雪の下を流るる血は、人知らぬ
篝に燃ゆる。たとえば白魚に
緋桜のこぼるるごとく。——
ひとたび、花和尚がこう
呻ると、たちまちその満面も、背の
文身の
緋桜のようになる。
「そうですか、アハハハハ。
荒川には
緋桜と云うのがあるが、
浅葱桜は珍らしい」
さそくの
躾みで
前褄を踏みぐくめた雪なす
爪先が、死んだ蝶のように落ちかかって、帯の
糸錦が
薬玉に
飜ると、
溢れた
襦袢の
緋桜の、
細な
鱗のごとく流れるのが、さながら、
凄艶な
白蛇の化身の